2025/12/09 21:56
昔、会社員をしていたころのお話。
広告やらプロモーションツールやらを制作する会社で編集仕事をしたり、文章を書いたりしていました。
特に医薬品分野でのお仕事の多い会社で、私もとある製薬会社を担当して、新製品が出るとその広報活動をお手伝いしたりしていたんですね。
特に医薬品分野でのお仕事の多い会社で、私もとある製薬会社を担当して、新製品が出るとその広報活動をお手伝いしたりしていたんですね。
大体は医師向けだったり、薬剤師向け。あとは医薬品の卸企業向けというのもありましたが、要は医療社会の内に向けたプロモーションだったのですが、ときには一般市民を視野にいれたお仕事もありました。
とはいえ、薬機法(当時は薬事法)の規定上、医療用の薬を一般の人向けに宣伝することはできません。けれど、製薬会社としては多くの人に新薬を使ってもらって、症状を軽くしたりしてほしいわけです。
私が会社づとめをしていた時期は、ちょうどインターネット黎明期だったものですから、Webサイトを使ったプロモーションも数ありました。しかし先程の話のとおり、オープンなサイトでは薬そのものの話ができません。
なので、当時よく担当したのが疾患啓発のホームページ。
つまり「こんな症状はありませんか?」から始まって、「あなたは◯◯の病気かもしれません。一度、お医者さんに診てもらうのをおすすめしますよ」と語りかけるあれですね。そして、訪ねた先の医療機関で新薬を処方されるというわけです。
もちろんこれは悪いことでもなんでもなくて、実際に疾患だと気づかぬまま生活している方にとっては、医療機関を受診することで生活が楽になるかもしれない。疾患に関する正しい知識を伝えながら、大いに救いとなるかもしれない情報を届けるプロモーションですから、社会的にも意義のある活動なんです。
なんですけど…………当時の私にとっては、というか今も同じ感覚ですけど、他人を「病気かもよ、病気かもよ」と脅しているような気がしてしまって、なんか精神的につらくなってしまったんですね。
(で、会社をやめて以降フリーランスで生きているわけですが)
繰り返しだけど、疾患啓発は決して悪いことではないんです。それは頭では分かってるんです。けど、なんか他者の気持ちをコントロールして受診につながる行動を起こさせるのが精神的にきつかったんですね。
今、こうして紅茶の販売をしながら、当然内心は「紅茶を買ってほしいなあ」「家にあると素敵な紅茶なんだけどなあ」と思いながら、やっぱりなんとなく「買って買って」とはちょっと言いづらいような感覚があって。
当時の気持ちと同じで、どんな紅茶を買うか、あるいは紅茶を買う買わないは人の自由なんだから、そこに踏み込むのは嫌だなあという気持ちがあるんだろうなと、自己分析をしてしまうわけです。
他人をコントロールしたり、人の生活・感情の中にずかずかと自分のペースで踏み込んでいくのが、どうにも得意じゃない性質なんですね。社会を構成する大人としてはあまりよろしくない性格。
けど、まあ、仕方ないですね。これが自分なのだから。
ということで、犬猫紅茶店の紅茶は私自身が世界で一番好きな紅茶ですし、家にあるととっても助かる子たちなので、よかったら一度おためしください。飲んでいただけたら、とってもうれしいです。
