2025/07/05 21:33

先日、伊坂幸太郎さんの短編集「パズルと天気」を読みました。さわやかでおしゃれで、かっこよくて、ちょっと不思議な伊坂ワールド。本作は殺し屋が出てくるような怖いこともなく(悪いやつは出てくるけど)、ひとつひとつの短編は書かれた時期もバラバラでまったく独立した作品なのに、なんだか5作でひとつに感じられる、この短編集自体がパズルのようなそんな一冊でもあります。


日々の生活の中で、パズルのピースのように、ピタッとハマる感覚があるとうれしいですよね。


このケーキには、このお茶がピッタリだった!

まさに今聴きたかったのはこの曲だった!!

そう、その話が聞きたかったんだ!!!


みたいなものでもいいし、


夏の気配を感じる真っ青な空

秋の入り口にふわっと香るキンモクセイ

寒いなと思った瞬間に舞い落ちる雪

春の散歩で見かける小さなつぼみ


みたいな季節の答え合わせみたいなものでも気持ちいい。


犬猫紅茶店の紅茶も誰かのパズルにピタッとハマればいいなと思いつつ、でも実はそこまで強い紅茶でもないしな……とも思うんです。


正直、そんなに簡単にハマらないからこそ、ハマった瞬間の喜びがあるわけで、いつもいつも毎度毎度、そんなピタッと感を求めていたら疲れちゃうし、ガッカリもしちゃう。なんか、


ピタッとハマるわけじゃないけれど、それでもここに置いとけば落ち着くな


ぐらいの距離感をお届けできる紅茶だといいなと思うんです。

下手にね、ピッタリ感ばかり追い求めると、そのうちにピースに合わせてパズルの形を変えようとしてしまう。そんな怖いこともあるかもしれない。

紅茶なんてピッタリ感があれば大ラッキー、ぐらいのスタンスがいいよなあと、私はそう思うんです。