2021/04/02 11:06

こないだちらっと昔話を書いたりもしましたが、紅茶にはどこか懐古的な風味があるような気がします


たまに大きく息を吸いながらリセットしようと思うとき
香りをかぎ、口にふくみ、喉をすべりおちていく紅茶
そこから、昔見た景色や感じた感覚、聴いた音楽がよみがえることがあるような、そんな気がするんです。しかも、なんていうか、あんまりしっかりしてない、ぼんやりして暖かな懐かしさになるのが紅茶らしさ


コーヒーミルで豆をガリガリして、ペーパードリップでじっくり落としたコーヒーを飲んでもノスタルジックになることはあって、高校生の頃に読んだ岩波文庫のヘミングウェイやマーク・トゥエインが思い浮かぶことがあるんですけど、それはどことなく硬質な感じ。色合いはセピアだけど、手触りはしっかりしてます。かたい

けど紅茶でよみがえってくる感覚は、色合いがぼんやりしてたり、肌触りがやわらかかったり。小説というよりは子どもの頃に読んだ絵本や幼いころをともに過ごしたぬいぐるみみたいな懐かしさ。コーヒーで感じるノスタルジーとはちょっと種類が違うようです

この香りをかぐと、あの瞬間がよみがえってくるという「点」の懐かしさではなくて、ほんとにゆるりゆるり、ぼんやりと、懐かしさっぽい感覚が「球」になって寄り添ってくれるようなそんな感覚

って、完全に個人の感覚なので、よくわかんないですよね(笑)
なんかね、でも、紅茶のこういう感覚をもっと多くの人と共有したいなって思うんです
犬猫紅茶店の紅茶はそういう紅茶にしたいなって

それが科学的に見たときにタンニンやテアニン、カフェインといった成分で説明つくのかどうかもよくわからないけれど、私にとって紅茶ってそういう飲み物なんだよなあって思います。人によって、そういうものっていろいろあるのかな。ホットケーキを食べると懐かしくなるとか、けん玉を見ると無条件に昔を思い出すとか、野球中継を目にするとうるうるしちゃうとか……

紅茶が懐かしさの飲み物であるって共感してくれる人がいるといいなあ